『誇りは永遠に』 ギャビン・ライアル 早川ノベルス

誇りは永遠に (Hayakawa novels)

誇りは永遠に (Hayakawa novels)

ランクリン大尉シリーズ第四作。

そしてライアル最後の作品。


本書のベストセリフ

「いかにもふさわしい人間が暮らし、

いかにもふさわしい内装が施されたような部屋は、

ただ気楽に仕事をさぼるためのものである。

真の仕事がなされる部屋というものは、

あらゆるものがちぐはぐで、臨時の仕事場にしか見えないものである」


形だけそれらしい外見のみカッコ良いプロより、

ちぐはぐで無様でも真の仕事をするプロとの違いを伺わせる、

ライアルの小説作法にも通じる名文ですね。

打てない時は如何にかっこよく三振するかを考える長島と、

上半身が泳いで無様なフォームになっても腰砕けにならずにきっちりホームラン打つ落合との違いですなw

社会常識の外見、規定のみに拘る奴は、

ありふれたキャラのよくある物語しか紡げないよな。

マンネリを避けようと真摯に考え続けたライアルが、

ジェンダーものとしても傑作になるのは当然ある。

ついに、ジェンダーものとして主人公が女装に目覚める素晴らしさ!

ライアルが生きていればホモの男同志のセ○○スも書いたに違いない。

ライアルを越えた冒険スパイ物はまだないのか?

ライアルは時代を100年超越していたよねぇ。

『もっとも貴ゲイなゲーム』とか、

『ゲイの誇り』とか、

『ゲイ少佐の尻』とか、

生きていれば書いただろうに惜しいよねぇ。

ライアルさえ2年に1冊の執筆ペース。

現存する小説家の方は誰でも書くような同じような小説を量産せずに、

プロの誇りを胸に良い仕事して欲しいざんす。