『太陽からの風』 アーサー・C・クラーク  山高 昭・他 訳  ハヤカワ文庫SF

・神々の糧
・大渦巻?
・輝くもの
・太陽からの風
・秘密
・最後の命令
・Fはフランケンシュタインの番号
・再会
・記録再生
・暗黒の光
・史上最長のSF
・ハーバート・ジョージ・モーリー・ロバーツ・ウエルズ殿
・あの宇宙を愛せ
・十字軍
・無慈悲な空
中性子星
・地球の太陽面通過
メデューサとの出会い

これがSFだ!これこそSFの短編集である。

本書を読んで感動しない人はSFファンではありません。

SF小説にも含まれる”何か”のファンなのでしょう。

本書はSFのエッセンスだけで構成された本である。

小説になってないものもある。

キャラクターが何の行動も起さず、どういう人物なのかを提示する心理描写もなく、

ただひたすら、科学的SF的なものについて討論するだけの話を、

小説とか物語とか呼ぶわけにはいかないだろう。

が、それでもSFとしては感動するのである。

SFの欠点が曝け出されている故に、真のSFファンしか感動できない短編集である。

ドグツニッコウが絶賛したという表題作は、

ダンバインのチャム・ファウ役の声優の川村ナントカも感動したという

ブラッドベリ的な作品であり騒ぐほどのもんじゃない。

この中で最高傑作は「輝くもの」である。

クレアのイルカSFが如何にバカバカしいかよく判る作品である。

NO2はただ木星探査をするだけの話の「メデューサとの出会い」でしょうな。

メデューサみたいな外見の生命体がいただけで、

神話のメデューサが出てきてたまるかくぬやろ!

クラークからSFマインドを取ったら何も残らないことがよく判る本書は、

クラークだけにとどまらず、SF短編集としては世界最高の本であろう。