『渇きの海』 アーサー・C・クラーク  深町 眞理子訳 早川文庫SF

月面の砂の海に沈没した観光船を救助するハードSF。

SFというと映画的な派手な宇宙戦闘を想起する諸兄もいようが、

こんな地味で固いものもあるw。

救助SFというサブジャンルが確立しなかったのは残念。

クラークなら、水星のトワイライトゾーンの秤動で焼き尽くされる観光船とか、

金星の二酸化炭素の底で溶解する観光船とか、

火星のオリュンポス山の火口に落下して一万メートルを墜落する観光船とか、

木星のメタンの海で腐食する観光船とか、

土星のリングに衝突する観光船とか、

天王星コリオリの力に振り回されて分解する観光船とか、

海王星で凍える観光船とか、いろいろ書けたと思う。

人間が知恵と科学技術のみで他の人間を救う救助SFはもっと書かれていいと思う。

ラストで宇宙人が助けに来ると白けますよね?

宇宙人も神も助けには来ません。

人間を救うのは科学技術のみですw