『興奮』 ディック・フランシス 菊池光 訳 早川ミステリ文庫

興奮 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-1))

興奮 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-1))

ギャビン・ライアル の『深夜プラス1』 とNWA賞を争い

負けた作品だが、当然の結果だと思う。

水準以上で悪くは無いが、

フランシスを高評価する人は、

競馬業界とか馬とかに思い入れのある人だと思う。

イギリス競馬界の不正を糺す探偵が、

オーストラリア人というのは意外で巧いと思ったが、

ギャンブル業界なんてどうでもいいですよ。

セクースを我慢する紳士なストイックなプロを主人公にすると聞いていたが、

本書で依頼人の娘とキスだけで我慢し、挿入しなかったのは立派だが、

休暇旅行のイタリアで売春婦とセクースしてしまい、期待外れ。

プロとしては、ラストで女を助ける必要はないんじゃない?

任務外のアクションで殺人する羽目になるとは、

プロ意識は弱い。

男は美しい女を守る為に人殺ししてもOKという、

古臭いジェンダー観がダメポ。

ギャビン・ライアル の『深夜プラス1』 は時代を超越しているが、

これは21世紀に読むのはやや辛いか?

「利腕」も並なら、フランシスは後回しにします。