『午前零時』 仁木英之 他 新潮社
②「冷たい手」 坂東真砂子
③「夜、飛ぶもの」 朱川湊人
④「卒業」 恩田陸
⑤「分相応」 貫井徳郎
⑥「ゼロ」 高野和明
⑦「死神に名を贈られる午前零時」岩井志麻子
⑧「箱の部屋」 近藤史恵
⑨「午前零時のサラ」 馳星周
⑩「悪魔の背中」 浅暮三文
⑪「1、2、3、悠久!」 桜庭一樹
⑫「ラッキーストリング」 仁木英之
⑬「真夜中の一秒後」 石田衣良
午前零時をモチーフにしたアンソロジー。
アンソロジーというのは、
複数の作家の傑作ばかりを
ピックアップして一冊にしたお値打ちな本。
というのが常識だったが本書は違う。
⑫と⑬は書き下ろしで、
残りの初出はネット上(新潮社のサイト)である。
世界一編集に頭を使ってない、
ネットの企画を本にしただけの軽いアンソロジーである。
作家もネット配信だからと手を抜いてないか?
読む価値があるもの、
この作家の他の作品も読んでみたいと思わせるのは、
で、残りの六人の作品は、
作者名を記憶する気にもならない平凡な作品。
現存する作家を貶すと、
野蛮で破廉恥なゴロツキ作家が多いので、
ヒジョーに危険であるが、
読書の腕前が上がっている諸兄には、
このアンソロジーのAランクでさえ、ギリギリ読める範囲かもしれない。
ホラー系の作品が多いが、
稲川淳司が作る怪談話レベルの
捨てろタイプな話もあって脱力した。
SF系、ファンタジー系の話もあるが、
もちろん軽いエンタメ系のアンソロジーだが、
仁木英之の作品だけが、
文学の高みに到達している。
「神さびる」「痣が散った」という文は個性的で、
捻りが効いていて良かった。
全作品がリーダビリティは高いが、
文体はみんなほとんど同じに見えるw
仁木英之だけが突出して優れている。
恩田陸はホラーとして文句ない構成力、描写力。
ホラーと思わせてSFで終わるというか、
事件は終わっても、作品世界は終わってない余韻のある終わり方は、
同じ舞台の作品を読みたくなる巧さ。
一番期待外れだったのは石田衣良。
TVに出て若者を侍らして、
若者の味方の振りをしている奴は、
しょーもない奴が多いという、MY法則をまた確信しました。
軽すぎて、全作品、漫画やドラマの原作として書かれたのか?
と思ったが、この作品はこの漫画家で漫画化を!
というネタを思い付いた。
漫画家の方が知的レベルが高いこともありうるが、
小ネタとしてお楽しみ下さい。
②市東亮子
③岡崎二郎
⑤弘兼憲史
⑥星野之宣
⑦篠原千絵
⑧高橋葉介
もし、読んだ方がいたら、このリストへの突っ込みキボーン!