『薄妃の恋―僕僕先生』 仁木英之

薄妃の恋 僕僕先生 (新潮文庫)

薄妃の恋 僕僕先生 (新潮文庫)

「羊羹比賽―王弁、料理勝負に出る」

「陽児雷児―雷神の子、友を得る」

「飄飄薄妃―王弁、熱愛現場を目撃する」

「健忘収支―王弁、女神の厠で妙薬を探す」

「黒髪黒卵―僕僕、異界の剣を仇討ちに貸し出す」

「奪心之歌―僕僕、歌姫にはまる」


の六篇が収録された短編集。

僕僕が老人形態には変身しなくなったので、

ジジコンの方には残念でしょうが、

美中年や美青年には変身するので、

腐女子の方は王弁君以上の妄想力でハァハァして下さい。

ギザカワユイ妖怪がいっぱい出て来るとても楽しい本である。

漫画化アニメ化されると、さらに大ヒットすると思う。

6編はそれぞれ、師弟愛、友情、男女愛、兄弟愛、親子愛、芸術(大衆への)愛

をモチーフにしていて、誰にも受ける普遍的なネタで、

スイスイ読めます。

基本的にはハッピーエンドだが、

見事なパラダイムシフトがある作品もあります。

軽い中華ファンタジーに思わせて、

哲学的なネタも埋まってます。

シリーズの一品として、

無敵の仙人に思えた僕僕の弱点や、

役立たずのニート青年の王弁の秘めた力も暗示されていて、

ファンタジーシリーズとしての引きも巧い。

将来絶対画像化され、

西遊記や漫画日本昔話級の、

日本国民誰もが知っているスタンダードな名作と評価されるようになるであろう。