岐阜農林高校「〜コノフクヌギタイ〜」岐阜農林高校演劇部作 創作
ファントム・ペインもの。
というか戦隊ものというか、
農林高校ものです。
去年の演目は、リアルな現実を真面目に生きていないと書けない素晴らしい脚本だったが、
今年は、リアルな高校生活の問題に、仮面を被ったヒーロー戦隊が立ち向かうという、斬新さがアウフヘーベンしてます。
3年生になっても将来にやりたいことが見つからない少女は、
とりあえず大学進学してやりたいことを見つけようと思っていたのだが、
父がリストラされ、働く母は、「就職しか選択肢はないでしょ。」と娘に説教する。
進路を母と口論している家庭に颯爽と現われる進路戦隊マタレンジャー!
「育英会や新聞の奨学生制度を使えば貧乏でも進学できる!」
マタレンジャーの活躍により、娘は進学出来そうな雰囲気になるが、
勉強したいのではなくて、就職したくないから進学するという
自分の逃げの精神に気付いた少女は、
逃げていてはいけないと成長し、
給料はいいがキツイ労働環境の職場に就職することを決意する。
そこで一生懸命働いて学費を自分の手で稼いで貯めてから、大学に行くというのだ!
なんて健気!
岐阜農林は、泣ける真面目な人物造形するから感動するよな。
我慢して真面目に生きることの素晴らしさを訴える岐阜農林の演劇は、本物の芸術である。
私たちは既に幸福なのだ。ただ、幸福であることに気付かないだけ。
指があることを意識して生きている人はいない。
しかし、指を失った時、初めて指のありがたさに気付く。
そして、存在しない筈の指の痛みも感じる。
フィンガーペイン、ファントムペイン。
幻の痛みに怯える前に、今の幸福に感謝しましょう。
人は全て我慢して努力しているのですよ。
主人公以外にも泣けるキャラ満載の素晴らしい演劇でした。