「トラキスの女たち」『ギリシア悲劇 II ソポクレス』 高津春繁他訳 ちくま文庫

エズラ・パウンド版 トラキスの女たち

エズラ・パウンド版 トラキスの女たち

一ヶ月以上かかってやっと二本目読了。

2Pにも亘る長ゼリフがあってもうたいへん!w

ストーリーやテーマは「アイアス」よりは良くなってきた。

英雄ヘラクレスに纏わる「トラキスの女たち」の話。

若い愛人に狂って本妻デイアネイラを蔑ろにしたヘラクレス

ヘラクレス一族に訪れる悲劇の物語。

本妻は愛人を毒殺しようとするが返り討ち!

ヘラクレス自身も愛人に謀殺される!

が、ヘラクレスは息子ヒュロスに愛人を娶って幸せにしろと言う。

父母の仇きを妻にするなどいう親不幸は出来ないと拒否するヒュロス。

だが、ヘラクレスの嘆願に負け、ヒュロスは愛人を娶る約束をして、

ヘラクレスを埋葬して終わる。

こんな悲劇を見逃しにして、何が神だ!

とラストでヒュロスがゼウスを呪詛する言葉を吐くのが、素晴らしい!

紀元前に書かれた戯曲で神を否定する言質があるとは、

ソポクレスは古代の呪縛から脱皮していた天才である。