「あの子」 半田商業高校 淵崎笑美と半商劇部と原祐治作 (創作)

幽霊ものというか、妖怪ものというか、

噂が実体化する恐怖もの。

架空のあの子の噂話をばらまいていた女子高生たちの前に、

噂とそっくりなブキミな転校生が現れるという話。

邪悪な噂が実体化した悪意ある「あの子」は、

母とうまくいってない主人公に幽霊のように憑り付き、

主人公を恐怖のどん底に陥れる。

主人公役は本当に涙を流します。

いやあ、愛知の高校演劇のレベルは高いですねぇ〜。

主人公はクラスでミニスカの不良グループの一員だが、

優等生グループが流していた善意の噂で、

あの子の悪意ある行動が、最終的に主人公を幸福にしてしまうという、

捻ったストーリー展開も良かった。

うわさのあのこが実体化する時は、いつも宇野沢亜子を名乗っていたのだが、

主人公は亜子に感謝して、亜子が消えた後に別の名前を付けてあげる。

黒板にその名前を書くと、教室の窓に「ありがとう」という文字が

照明として映って終わるラストは、

恐怖ものでありながら、清々しい感動を貰いました。

女ばかり10人も出てくるが、キャラが被ってないのも凄い。

声も超低音ハスキーボイスから超高音アニメ声まで全域が用意されていて

聞いていてとても楽しかったです。

たまたま素で個性ある劇部員が10名揃ったのではなく、

しっかりした演技による演じ分けだと読み取れました。

女だけの演劇でこんなに感動したのは生まれて始めてだ。

半田商業もこれからは注目します。

世界一の童話作家新美南吉を生んだ、

半田市の文化芸術の土壌が素晴らしかったということかしら、うふ。