『名演奏のクラシック』 宇野功芳 講談社現代新書
- 作者: 宇野功芳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/04
- メディア: 新書
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「そんなアホな!世界一の芸術大国のスペインの天才チェロ奏者の演奏がCD化されてない筈はない!」
と思って、調べたくなってこの本を買った。
結論から言えば、もちろん出てます。
ただし、戦前のSP盤の復刻版ばかりで、録音状態が悪く、
自信を持って人様には勧められないということです。
人様に勧められるチェロ奏者のカザルスのCDは無いが、
指揮者カザルスなら、実はあると、この本に書いてあったのは収穫だ。
モーツァルト=交響曲第35番ニ長調「ハフナー」、同40番ト短調、同41番ハ長調ジュピター……CBS・ソニー66DC5098〜100
宮城谷昌光が勧めていないのは、今一不安だが、宇野功芳のこの本を読んで、
宇野功芳は信頼に足る評論家だと思われたので、
チェロの神様カザルスとともに、指揮者カザルスにも注目したいと思う。
で、宇野功芳が信頼できる根拠として、この本の中から名セリフを列挙する。
「感動出来ないものは芸術ではない」
「音楽性が優れていても芸術性が優れているとは限らない」
「穏健すぎるものと前衛すぎるものは芸術ではない」
「評論家は、良い悪いと好き嫌いを混同してはならない」
「日本のクラシック界のレベルが低いのは、音大生のレベルが低いから、ようは、日本の音大の教育レベルが低いのである」
自身も音大卒業してるのにアカデミズムを批判出来るのは、
宇野が本物の証拠だね。
宇野は音楽雑誌での批評を主な活動の場にしているみたいで、
学校関係者とのしがらみはなく、
孤立無援でも真実の批評を続けてきたらしい。
誰もが誉めた演奏でも、宇野一人が扱下ろしたこともあったそうです。
読んで面白いミーハーネタをもうちょい書いておく。
「小沢征爾は軽薄である。
しかも、音楽マフィアの手先として、他の音楽家の演奏機会を奪う圧力を劇場にかけたことがある。
小沢の優れている点は、抜群の勘の良さである。
一流の演奏家は小沢の指揮なんか無視して演奏するが、小沢は演奏にタクトを上手に合わせることが出来る」
おい、ちょっと待て、指揮者が演奏に合わせてどうする!(藁
征爾は満州で中国人の人権を侵害し続けた男の子供だからな。
二流に育つのも無理はない。
「ブーニンのベストはハイドンのピアノ・ソナタ第23番であり、ブーニンのつまらないショパンに群がる人は付和雷同しているだけ」
「カラヤンは芸術家ではない。一流のデザイナーなのだ。
魂の深遠さ、その苦しみや痛み、情熱や歓喜といったものとはまったく無縁、
ただ表面が美麗でこころよく、スマートなだけ」
で、お勧めリスト。
指揮者トスカニーニ/ベートーベン=交響曲第1番ハ長調……RCA BVCC7003−7
指揮者メンゲルベルク/バッハ=マタイ受難曲……フィリップス 30CD307−9
指揮者メンゲルベルク/ベートーベン=交響曲第1番ハ長調……フィリップス 30CD301
指揮者メンゲルベルク/ベートーベン=交響曲第8番へ長調……フィリップス 30CD305
指揮者モントゥー/ドビュッシー=映像……フィリップス 32CD597
指揮者モントゥー/ラヴェル=「ボレロ」「マ・メール・ロワ」「ラ・ヴァルス」……フィリップス 25CD5052
指揮者ワルター/ベートーベン=交響曲第2番ニ長調……CBSソニー 28DC5037
指揮者ワルター/ベートーベン=交響曲第6番へ長調「田園」……CBSソニー 22DC5581
指揮者カザルス/バッハ=無伴奏チェロ組曲……エンジェル CE30−5213−4
指揮者カザルス/ベートーベン=ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調「大公」……エンジェル CE30−5406
やっぱ疲れる、こんで止め。
最後の最後に宇野の名セリフ中の名セリフでこの文を終了する。
「芸術の最後の決め手は、侘しさである。」