『女王陛下のユリシーズ号』 アリステア・マクリーン 村上博基 訳 早川文庫NV

本書のベストセリフ

「わが家、祖国、家族、妻、恋人、

それらはものの名前、

ただの名前でしかなかった」


戦争小説の最高傑作!

読者の予想を良い意味で裏切る怒涛のストーリー展開で、

愛と憎しみを超克した完璧の戦争小説!!

56億7千万年たっても、本作を越える戦争小説は現れないだろう。

男率100%!!!

女性キャラは一人も登場しません。

物語の中で愛だ恋だセクロスだという軟弱な視点が出る可能性はナッシング!!!!

愛の為に戦うのではないのが凡百の戦争ものから、

本書をオールタイムベストに峻別している事由である。

愛も敵愾心も乗り越えた素晴しい海の男達のドラマである。

本書の北極海の死闘に比較すれば、

ガダルカナルの戦いも、

ベトナム戦争も、天国みたいなもんである。

これを読んでないのは読書人の恥。

映画化された「ナヴァロンの要塞」

観ていたので、

マクリーンを知っていたつもりであったが、

本書は映画になるような軟弱な作品ではない。

映画化されても絶対ストーリーは変更されるであろう。

普通の戦争ものは敵との悲惨な戦いを描く。

ちょっと捻ったものは、それに加え、

味方同士の戦いも発生する。

味方に誤射されて全滅する「戦争のはらわた

悪意ある味方に狙撃される「プラトーン

本書は更にその上を行く地獄である。

敵に殺されるのは普通の悲劇、

味方に殺されるのはそれより酷いが、

本書はそれ以上の悲劇的な戦いが展開される。

本書に比較すれば本書以外の全ての戦争ものは、

お気楽な極楽での甘ちゃん達のお遊びである。

自殺したいとのんびり考える幸福な奴は、

ユリシーズ号に乗せて北極海に送り込みたいw