『本の遠近法』 高階秀爾

本の遠近法

本の遠近法

世界一の美術評論家高階秀爾大先生の書評集である。

10Pクラスの長めのネタから2P程度の短めのネタまで、

面白そうな本を面白く解読しておられます。

私が期待していた林達夫「思想の運命」の解読は、

2Pしか割かれてなくてちょっち残念だが、

高階秀爾大先生は林達夫を、

「知的勇気を持つ知識人」とかっちょよく褒めておられます。

象牙の塔に閉じこもるアカデミズムではなく、

社会性に溢れたジャーナリズムの仕事こそ、

林達夫の本質だと理解出来ました。

戦争中に戦争批判する勇気を持っていた本物の教養人林達夫

戦後に反動で左翼教育がメジャーになった時は、

戦勝国の指導者スターリンをも批判した、

時代に迎合しない勇気溢れる林達夫を我々は参考にしなければならない。

林達夫は今の時代には忘れられていて、

読者へのアピール度が少ないと思われるので、

メジャー系の作者のネタも紹介するか。

高階秀爾大先生は塩野七生の本の間違いも指摘しておられてます。

ハイデッガーの哲学の元は茶道であるという凄い説も展開しておられます。

ハイデッガーと禅の共通性は有名ですが、

高階秀爾大先生はハイデッガーが参考にしたに違いない茶道の本も突き止めてます。

マイナー系の本のネタが多いので、

読む本を探すには貴重な書評集である。

私はこの本を読んでハイデッガージョジョの関連性に気が付いた。

「Being in the world!時よ止まれ!」

ごめんなさいごめんなさい。