『黒後家蜘蛛の会』 アイザック・アシモフ 創元推理文庫

黒後家蜘蛛の会 3 (創元推理文庫 167-3)

黒後家蜘蛛の会 3 (創元推理文庫 167-3)

黒後家蜘蛛の会 (4) (創元推理文庫 (167‐5))

黒後家蜘蛛の会 (4) (創元推理文庫 (167‐5))

黒後家蜘蛛の会〈5〉 (創元推理文庫)

黒後家蜘蛛の会〈5〉 (創元推理文庫)

黒後家蜘蛛の会 1 (創元推理文庫 167-1)

黒後家蜘蛛の会 1 (創元推理文庫 167-1)

黒後家蜘蛛の会 2 (創元推理文庫 167-2)

黒後家蜘蛛の会 2 (創元推理文庫 167-2)

各巻に1話は超能力や超常現象のトリックを暴く話があるのが素晴らしい。

死後の世界は存在しないというヤツも書いて欲しかった。

完璧に思える超常現象肯定論があったとしても、

そのトリックを見破れるアシモフなら、

自分の臨死体験さえトリックであったと説明出来るだろうから、

生き返って、復活の奇蹟のトリックを暴いて欲しい(w

で、全5巻の中で最高傑作は、

超常現象否定論の究極の汎用性を持つ「明白な要素」だろうが、

基本的雰囲気を感じてもらう為に、「欠けているもの」を紹介しておく。

安楽椅子探偵のサロンである黒後家蜘蛛の会に、一人の男が助けを求めにやってきた。

彼のパープリン女房が、こともあろうに、

火星にサイコフライングして帰ってきたと自称する教祖の宗教にはまってしまったのだ。

自分だけで狂っていたならまだいいのだが、女房は夫にもその狂気を信じろと日夜訴え始めた。

火星にはまだ有人宇宙船は着陸してない。

魂だけで火星の表面に降りたち、火星の状態を描写したという教祖の著作には、

本当に火星に着陸したのなら、見えなくてはいけないもの、

あるいは、見えてはいけないものに関する矛盾があってはならない。

黒後家蜘蛛の会員は最新の知識をもとに、教祖の本の嘘を探し始めた。

あっと驚く欠けているものは・・・。

この作品はミステリーでありSFでありそして立派な小説なのである。

科学知識があるからアシモフはSFも書いたが、

アシモフの面白さの本質はミステリだと思う。