『幼年期の終り』 アーサー・C・クラーク

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

人類進化ものというジャンルを確立したSF史上に残る傑作。

進化した宇宙人にとっては、地球人の文明など、幼年期にすぎない。

幼年期を脱して地球人を成熟させる為にやってきた宇宙人との物語である。

地球文明イコール欧米先進国文明という視点があるのはやや古いイメージを持つが、

それゆえ、欧米キリスト教文化圏の人間にとっては、

ラストに明かされる宇宙人の正体には凄い衝撃を受けるであろう。

今となってはよくある価値の逆転、

SF小説では既に使い古されたセンス・オブ・ワンダーになってしまった感があるが、

このネタを長編で真面目に提示したのはクラークが最初だよね?

巨匠クラークだからこそ提示出来たネタとも言える。

日本人の我々には衝撃度が低いと思われるが、

キリスト教文化圏の人間が、キリスト教文化圏の人間達に訴えたということを忘れないで欲しい。

彼らにとってはとんでもない問題作である。