『夜より暗き闇』 マイクル・コナリー 古沢嘉通 訳 講談社文庫

夜より暗き闇(上) (講談社文庫)

夜より暗き闇(上) (講談社文庫)

夜より暗き闇(下) (講談社文庫)

夜より暗き闇(下) (講談社文庫)

本書のベストセリフ

テリー・マッケイレブ「いや、あらゆる天才が

          ミュージシャン、画家、刑事も入れていい

          そのような致命的欠陥を抱えているのだ、と。

          腕に刺された針」

ハリー・ボッシュ「だれでも致命的欠陥を持っていると思っているよ、

          天才であろうとなかろうと」


“ハリー・ボッシュ”シリーズ7作目兼"テリー・マッケイレブ"シリーズ2作目。

そして、『ザ・ポエット』の主人公ジャック・マカヴォイも登場する、

マイクル・コナリーの『大甲子園』である。

三大ヒーローが一同に会して、

強大な堕天使に、合体技三位一体や、

『バッドラックムーン』のキャラも加え一なる四者として戦いを挑む!

という話ではないw

アホサー・クルッテリーのピンク色の脳細胞の迷探偵エロキチガイ・ポルノシリーズの最終巻

『カーテン』ネタである。

毎卷が最終巻のノリの凄いシリーズなので、

最終巻でもないのに、ここで『カーテン』ネタが爆裂します。

犯人役はハリー・ボッシュ、名探偵役はテリー・マッケイレブとして物語は進むが、

雑魚の脇役にされたもう一人の主人公ジャック・マカヴォイの爆弾は、

予定調和的な推理小説の舞台を破壊する!

甲子園球場で野球の試合で力比べしようとしていたら、

いつのまにかサッカーの試合になったようなもんw

ネタバラシを避けるため判り難い喩えで紹介しておりますww

パターン破りの手法のみを追及すると、

読者を怒らす悪ふざけになる可能性があるが、

読者を馬鹿にしてるようなメタフィクションや、

読者を置いてきぼりにする純文学に走らずに、

面白い小説の範囲内で、

あっと驚くパターン破りをするコナリーは天才である。

ハードボイルド小説と推理小説の枠は突破してしまった気がする。

ここに、コナリー小説という新しいジャンルが誕生したことを宣言します。