『ナイトホークス』 マイクル・コナリー 古沢嘉通 訳 扶桑社文庫

ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ナイトホークス〈下〉 (扶桑社ミステリー)

ナイトホークス〈下〉 (扶桑社ミステリー)

本書のベストセリフ

ハリー・ボッシュ「偶然なんてない」


なんだ、このレベルの高さは!

第一作から、シリーズものの最終巻のような凄いネタが展開します。

ハードボイルドの枠を超えた本格推理小説として楽しめます。

というか、ハードボイルドの欠点を逆手にとった本格ミステリである。

世界一の推理小説、クイーンの「Yの悲劇」には惜しくもかなわないが、

ラスト50Pのドンデン返しは、

「Yの悲劇」をハードボイルドでやる気かと、凄い興奮しました。

まだ、一作目である。

「Yの悲劇」も超え、

推理小説のジャンルも超え、

新たなジャンルを創設してしまいそうな力量がコナリーからは読み取れます。

コナリー読まずに死んだらいけないというが、

死刑が確定した死刑囚にも読ませるべき傑作である。

死刑囚は、

「コナリーの作品読みたいので、死刑にしないで下さい。悔い改めます」

と叫ぶであろうw。

ネタばらしになるので、どう紹介するか、書き方に悩む作品だが、

思いっきり深読みして曲解して、

美術オタクの刑事が、美術品を集める物語。

という紹介はどうよ?

原題はブラックエコーだが、ナイトホークスという訳題にした

古沢嘉通さんのセンスも素晴しいですな。

ブラックエコーテーマのベトナム帰還兵の物語なんて量産されすぎている。

本書はナイトホークスの物語である。

最後にこの名セリフは書いておきたい。

『不正は正されなければいけない』