『狂人の部屋』 ポール・アルテ 早川ポケミス

ツイスト博士シリーズ4作目。

ミステリに出て来る超能力者は

手品のトリックを利用している詐欺師でしか有得ないが、

本書の能力者は本人がマジに自分を能力者と信じているのが

捻りが効いていて良い。
凶器を使用せず幽霊を見せて心臓発作で殺す頭の良い犯人が出て来ます。

事件が始まる前のラブラブファイヤーは退屈だが、

解決篇の見事さには唸ります。

真犯人が途中で予測出来ても最後まで唸らされる見事な終盤です。

ラスト1ページのどんでん返しが無くても充分堪能できます。

真犯人が判っても最後まで面白く読めるこの手法を

発展させた更なる傑作がアルテには書けると期待出来ます。

いつもいつも事件現場の絨毯が濡れている謎の解決が、

同じでは無くて全て違う理由なのも芸が細かくて良かった。