『前夜』 リー・チャイルド 講談社文庫

普通の作家ならキャラの紹介エピソードとしてパターンで流す箇所も、

一歩踏み込んで見事にストーリーに関連させている。

無駄な描写が無い巧さに唸る。
ホモ殺人事件も出てくるのでジェンダー観も素晴しい傑作。

ひたすらプロットが巧い。

セクースの為のラブコールさえ

演繹的推理小説のトリックの一部として見事に組み込んでいる。

鬱陶しい純文学的なダラダラ文でなく、

スタイリッシュな短いセンテンスの文のテンポも良い。

エンタメとしてしっかり考えて書かれた傑作。

エドワード・ホッパーの「ナイトホークス」も出てくることから、

作者の理想はマイクル・コナリー だと期待する。

一部マイクル・コナリー を超えている箇所も見受けられる。

これは全作コンプしなアカンですな。
http://d.hatena.ne.jp/wakaba-mark/20110607

前夜(上) (講談社文庫)

前夜(上) (講談社文庫)

前夜(下) (講談社文庫)

前夜(下) (講談社文庫)