『フレームシフト』 ロバート・J・ソウヤー  内田 昌之 訳 ハヤカワ

ソウヤーは当たり外れが大きいがこれは外れの方である。
しかし、プロの書評家にはこれは貶せんだろう。
SFとしてのアイデアは平行進化を可能にするジャンクDNAに隠されている
フレームシフト発動の謎を解くというものだが、
遺伝子テーマと言うと、人種差別問題に関わってきて、
これはSFというよりはナチスの戦犯を問い詰めるのがテーマになっている。
この作品を貶すと人種差別主義者のナチス肯定論者みたいで、
貶す度胸のある人はいないかも知れんが、
ラストで単なる科学者の主人公がナチの戦犯を殺してしまうのだが、
警察に逮捕されなかったのは理解に苦しむ。
主人公は不治の遺伝病にかかっていたのだから、
逮捕される直前に病気で死んだという明確な描写が欲しかった。
主人公は病気で長生き出来ないことを知っているので、
自分が生きた証としてノーベル賞受賞を目指し研究に没頭して、
もちろん男女交際はしない主義なのだが、
まったくの偶然でテレパス(大爆笑)の女科学者と出会いラブラブファイヤーに
なるのは御都合主義も甚だしい。
テレパスの女は男が女を性の対象としか見ないのを辟易していたのだが、
主人公がフランス系カナダ人だったので、アメリカ人のテレパス女は、
フランス語で考える主人公の心を読んでも、卑猥なフランス語を理解出来ず、
主人公とさわやかに恋愛出来たという設定も大笑いである。
色々とあって現代に甦ったネアンデルタール人のクローンの少女を、
主人公達が娘として育てるハメになるのだが、
エピローグのラストでネアンデルタール娘を美しいと描写して終わるのだが、
奇麗事はよせ!と言いたい。人種差別の否定を象徴した素晴らしいラストと
感動しなくてはいけないのだろうが、不自然すぎると思う。
主人公サイドでない科学者がチンポコの大きさと知能は反比例するという
論文を発表する箇所があったのだが、私はその理論に賛同したぞ!
一番知能が高い人種は東洋人に決まってるがね!次が白人、そして黒人である。
種族や男女に能力の差があってもいいじゃないか。
能力とは知能だけの事ではないのだから。
ちなみに私は知能と肉体能力を総合すれば、
ホモ・サピエンスより、チンパンジーの方が優れた種族だと思っています。
チンパンジーの成人は知能は人間の3歳児ぐらいだが、
なんとか言語も使用出来るし、(手話で人間に、私、バナナ、欲しいと語ることが可能。
四単語以上を同時に駆使するのは難しいみたいだが・・・)
腕力は人間の3倍である。
ところで本作でユダヤ人を50万人ガス室送りにした仇役だが、
私はそんなに悪党だとは思わなかった。
「奇跡」が起こってガス室から生還した12歳の少女を
こいつは自分で犯さずに、ユダヤ人から登用した看守に
犯させるのだ。
ロリコンでないのは善人である。
成人した女も犯さずに乳房を切り裂いてすぐ殺してしまうのもポイント高い。
にゃんにゃんと漁ることしか考えない人間は、人間というよりも
やることしか頭にない動物に思える。
ロリコンの持てない童貞諸君にとっては、どうせ結婚出来ずに死ぬのなら、
ガス室送りになってもいいから、12才の少女とにゃんにゃんしたいと
思うであろう。
地獄のガス室どころか、ロリコンにとっては天国じゃん!
悪の描写も中途半端な失敗作である

フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)

フレームシフト (ハヤカワ文庫SF)