『幽霊の勇士 魔法の国ザンス8』 ピアズ・アンソニイ  山田順子訳 ハヤカワ

幽霊の勇士―魔法の国ザンス〈8〉 (ハヤカワ文庫FT)

幽霊の勇士―魔法の国ザンス〈8〉 (ハヤカワ文庫FT)

ドラゴンクエストの贋物(本物はSPIのテーブルトークRPGである)

のような凡百のファンタジーRPGやファンタジー小説では、

主人公たる勇者が、悪の魔王を倒す過程において、

声も出る暖かみもあるという夜のアイテム「お姫様」を入手するのが常であるが、

何ともワンパターンで大笑いである。

最終の敵ボスがお姫さまであったというファンタジーを誰も作らんのは何故だ!?

と馬鹿にしていたが、さすがアンソニイ、やってくれました。
主人公はお姫様に殺されてメデタシメデタシとなるのです。

でも大丈夫心配はいりません。

主人公は「甲賀忍法帖」の薬師寺天膳や「伊賀の影丸」の阿魔野邪鬼より凄い、

灰になっても生き返る魔法を使えたのです!!

本書の惜しいところは計算ミスをしてしまった点である。

主人公が通常ヒューマノイドより身長の低いエルフ族の村を訪れた時、

エルフの身長は1/8、だから体積は1/8*1/8*1/8=1/512で、

体重も握力も1/512のような描写があるが、

握力、筋力は1/8*1/8=1/64にしかならない。

何故ならば、筋肉は二次元平面での伸縮により力をだしているのであり、

三次元の動きを筋肉はしないので、立方分の1にする必要はないのである。

つまり、ミクロ人間は、ミクロ化すればするほど、見た目より怪力になるのである。

身長が1/8になったのなら、1/8の世界では、8倍の筋力を得たように見えるのである。