『血文字の罠』 リンク&レビンソン&ハリントン  谷崎晃一 訳 二見

刑事コロンボ 血文字の罠 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

刑事コロンボ 血文字の罠 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

ダイイングメッセージものだが、

犯人が複数犯で、被害者の残したメッセージは、

犯人Aの名をどえりゃあ捻って完全に書き残したのだが、

それがちょっと捻った犯人Bの名前の一部に思えて、

犯人達はメッセージに書き足して、第三者の犯行に思わせるという話。

よく考えたなとは思うが、所詮言葉遊びにすぎない。

コロンボのタイトルは二重の意味があるのが多くて、

タイトルとトリックも含めれば、ちょっとは評価出来るが・・・。

血文字の罠を仕掛けたのは犯人がコロンボに対してだけではなく、

被害者が犯人にも仕掛けていたという意味もある。

犯人が馬鹿というか、ダイイングメッセージは血文字に、

決まっているという盲点を突いた点は面白いと思うが、

コロンボのダイイングメッセージものの最高傑作は、

私は○○に殺されたという明確なメッセージの隠し場所を、

書類ケースに付けたキズで示したヤツだと思うので、

それに比べるとこれは見劣りする。

ダイイングメッセージは犯人に見つかったら消されたり改ざんされたりする。

馬鹿が見たらダイイングメッセージとは思わないが、

頭のいい奴が見れば気付くというネタは、

気持ちよかったですね。

最悪の場合は縦棒一本しか書けずに力尽きて死ぬかも知れないが、

それでもメッセージにはなると考え付いた被害者が、

コロンボの世界では一番頭の良い被害者であろうな。