『マグニチュード10』 アーサー・C・クラーク&M・マクウェイ 内田 昌之 訳 新潮

マグニチュード10 (新潮文庫)

マグニチュード10 (新潮文庫)

クラークが書いてないのは明白なのに、

私もよく買ったものだと思うが、

これは、マイク・マッケイ(電脳惑星はこの表記だったと思うが)の作品にしては、

大当たりの傑作である。

事実クラークは一字も書いておらず、

850字のアイデアのみをマッケイに渡したのだが、

このSFアイデアが素晴らしい!

日本沈没を越えた世界一の地震SFである!!

(ってこれと日本沈没以外に地震SFってないか?パニックSFで地震が起こるのは2・3あったように思うが・・・)

後漢時代に張衡が発明した、

世界最初の地震計の事も語られていると書けば、

地震SFとして如何に深い作品か、

理解してもらえるであろう。

現実の20世紀の地震学者は2世紀の張衡と地震に対するアプローチは同じである。

これはSFであるから、この作品の地震学者は、

地球を地震の発生しない惑星に改造する方法を思い付くのだ。

惑星改造レベルの話になる究極の地震SFである。

プロローグは1994年、カリフォルニア州ノースリッジ大地震で、

主人公が両親を失う場面で始まり、

エピローグはなんと、2058年(+n年)の月面都市である。

地球を地震の起きない惑星に改造出来たので、

今度は月の改造に乗り出したのか、

それとも、地球が大地震で崩壊したので、月面に避難したのか、

貴方の目で確かめて下さい。

これがワクワクするSFマインドのセンスオブワンダーというものである。