『トリガー』 アーサー・C・クラーク&M・P・キュービー=マクダウエル 早川文庫SF
- 作者: アーサー・C.クラーク,マイクル・P.キュービー=マクダウエル,Arthur C. Clarke,Michael P. Kube‐McDowell,冬川亘
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/12
- メディア: 文庫
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- 発売日: 2001/12
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そこでは、商用に転ずる可能性がない研究でも、
科学者の好きなことを好きなだけ研究していいのだ!
副所長としてそこに招かれた主人公の化学者は、
牽引ビームの研究を開始する。
ところが、大家さんの前だが、もうたいへん!
ナトリウム基を含むあらゆる火薬を爆発させる点火ビームが出来てしまったのです!
このビームを浴びると全ての火薬兵器は爆発する。
兵器体系戦争体系の革新である。
敵の持つ火薬兵器は敵自身を攻撃することになる。
このビームで全世界を覆えば、銃による武装は不可能になる。
銃撃戦も地雷も存在しない夢のような平和な世界を創造出来る。
大量殺戮兵器ジェノサイドマシンの対極に位置する機械、
ジェネシスマシン創世記機械の誕生である。
だが、特定の勢力が創世記機械で、敵対する勢力の武器を奪い
自分達の兵器だけを守るバリヤーとして使ったら、恐るべき独裁政治の世界となる。
研究所は創世記機械を世界征服を企む悪の組織の攻撃から守れるのだろうか!?
「来やがれ!早乙女研究所がただの研究所ではないことを思い知らせてやる!!」
アレ?なんか間違えたか?(藁
まあ、火薬点火ビームが存在したらというホットイフをそれなりに煮詰めた作品。
水準作だとは思うが、創世記機械ものは、もちろん、
ホーガンの「創世記機械」が最高傑作だから、ホーガンに比べると見劣りする。
キャラ立ちはやや並以下の印象を持った。
平和主義者の大統領と上院議員のキャラが被っているように感じた。
主人公側のキャラよりも、智恵と力とチームワークでトリガーフィールドの裏をかいて、
テロに走る全米ライフル協会の幹部に、感情移入してしまうのは困ったもんだ。
紆余屈折しながらも、全世界は非武装化への道を辿るわけだが、
テロリストの企みが一時とはいえ、成功してしまうのは、平和主義者の主人公側が情けなくて叔父さん泣いちゃう。
銘句も各章の始めに引用されているが、
私が一番共感したのは、アーネスト・ミラー・ヘミングウェイの
「人間は屈伏するように作られてはいない…人間を破壊することはできるが屈伏させることはできない」
です。