『兵士よ問うなかれ』 ゴードン・R・ディクスン 石田善彦 訳 創元
- 作者: ゴードン・R・ディクスン,石田善彦
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1985/10
- メディア: 文庫
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体が不自由な人を主人公にした傑作と評価する人もいると思うので、
ほとんどの作品の主人公がなんらかが不自由な人のディクスンも紹介しておきますw
徴兵されて、惑星<新地球>に派遣された義理の弟を兵役解除すべく、
ニュースメンギルドのタム・オリンは<新地球>に従軍記者として潜入した。
だが、弟は、銃を所有してないのに、敵兵に嬲り殺しにされた。
助けようとしたタムも重傷を負い、足が不自由な体にされた。
現実世界の肉体の重みも、生命の価値も知らない残虐非道の敵の正体は、
宗教を信じる低知能者であった。
かくしてタムは、弟の仇を討ち、銀河の心優しき人々の幸福の為、
銀河からすべての宗教を消し去る為に、不自由な体で画策を開始した。
たった一度しかない一生の重みが判らん宗教家どもは、
てめえが信じる天国とかへ、俺がただちに叩き込んでやる。
世にもおぞましくて気持ち悪くて恥ずかしい宗教とやらを信じている奴等の未来はただ二つ、
ただちに宗教を捨てるか、現実の命を捨てるかだ!
未来予測術を駆使し、グレイム一族も巻き込んで、
タムの銀河レベルの宗教駆逐作戦が開始された。
本書は「ドルセイ!」と「ドルセイ魂」の後半にリンクする話である。
久し振りにドナル・グレイムが登場します。
シリーズの中の一編だからああいう結末になるのは仕方ないけど、
同じネタで独立長編として遠慮ない壮大なラストを見てみたいものだ。
銀河からすべての宗教を消し去るという素晴らしいアイデアがもったいない。
私はディクスンのキャラ設定は世界一だと思っているが、
いつもいつも、ストーリーがいまいちでもの足りない。
ホーガンのSF社会に生きるディクスンのキャラがアンソニーのペンで語られるのが私が求める究極のSFである。