『剃刀』 中村吉蔵作 既成 愛知高校

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散髪屋もの。

大正時代の戯曲です。

御園座中日劇場にいる錯覚を覚えた。

女形は色っぽいし、セリフ回しも見事に昔風だし、

高校生離れした実力と、こんな演目を選ぶとは、その真面目な志の高さに感服するが、

高校生の大会には浮きすぎてますよね。

ルーティンワークの仕事に嫌気をさした散髪屋が、

自分より学校の成績が悪かったのに役人として出世した昔の友人を妬んで殺してしまう話。

キャラの心情は現代にも通用するが、

地位も名誉もない技能職の哀しみが、本当に高校生に理解出来るのか?

大臣にも博士にもなれる可能性を秘めた高校生に、

下層階級の者の苦しみを演じられても、

上手ければ上手いだけ、逆に腹が立つのは、ポルケセラ?

♪ポルケセラ〜 ポルケセラ〜

ポルケ! ポルケ! ポルケ!

ポルケセラ〜!(うろ覚え藁

芝居事ではないんだゴルァ!

今、現実に苦しんでいる為吉どんはどうすればいいのですか?

殺人を犯しても、社会体制が悪いと同情すればいいってもんじゃあないんだよ!

殺人は絶対悪です。

為吉が殺人しなくても救われる方法を提示して欲しかった。

私が提示します。それは優れた文化芸術に触れることです。

殺人者を肯定する作品は駄目駄目よ。

暴力を肯定する作品はあかんがな。

代償機能としてのバイオレンス作品の有益性もあるという説もありますが、殺したらそこで終わりです。

殺さずに生かす生きる方法を模索する方が、知恵のある人間らしい生き方だと思います。

人を殺せない大人しい人間になるには、読書が一番です。

校内暴力で荒れた中学が、朝の十分間読書で静かになったという報告もあります。

為吉どんは大正浪漫文学で救ってほしかったです。