『「からだ」と「ことば」のレッスン』 竹内敏晴 講談社現代新書
- 作者: 竹内敏晴
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/11/16
- メディア: 新書
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不良生徒を更生させる為に、学校の芸術の単位として、
演劇科目を取り入れた高校に講師として招かれて、
遊ぶことと暴れることしか頭にない不良の屑たちが、
竹内先生によって立派な人間に進歩していく感動のドキュメント「からだ・演劇・教育」が素晴らしかったので、
その後の竹内氏の生き方を知りたくて買った。
不良高校生との付きあいで大学教官の職を失った竹内氏であるが、
演出家として劇団を率いてそれなりに成功したようでマンセーである。
劇の練習そのものをセラピーとしてしまった竹内メソッドは感動的であるが、
練習中に他人と感激して抱き合う人も発生する竹内メソッドは、
私には必要ないなと思った。
演劇では他人の体に触る演技も必要とされるから、
竹内メソッドは気持ち良い触り方を教えるのだが、
体触りあって恍惚とした表情を浮かべているレッスンの参加者を見て、
「卑猥ですね」
とのたまう見学者もいて、他人の体に触るのが大嫌いな私は、竹内レッスンで破廉恥な演技してまで、心を癒されたくないなと思いました。
言葉によって心が通って感動すれば、人は自然と抱き合うものだと言われても、
それは知的な人間ではなくて、動物に戻るだけの行為に思える。
感動して抱き合って泣いてしまう竹内メソッドに危険な宗教団体の臭いも感じる。
演劇のレッスン書としては、破廉恥なことが嫌いな私は、役者には成れないなと再認識しました。
演劇関係書としては評価しないが、思想書、言語学の本として参考になる箇所はあった。
素晴らしい自由とは何かをする自由ではなくて、
嫌な事はしない自由だという説(って元ネタはルソーだが)にはなるほどと納得した。
自由な行為が素晴らしいのなら、歴史上もっとも素晴らしい人物は、自由に虐殺しまくったヒトラーとなるわけなのです。
何かをする自由なんて尊重すると、勘違いしたヒトラー野郎が生まれます。
自由行為は人民の敵であ〜る!(藁
危険なギャグはこのぐらいにして、
人間の本質を探るのに、その人が何をしたくないかと考えるのは有効であろう。
自分探しブームは既に終了していると思うが、
私は何をしたいのだろうと、未だに探している人は、
したくないことを考えると自分が見えてくるかもしれません。
言語学ネタは、発声は唇の動きではない!
という説が新鮮だった。
語学の教科書に発音する時の唇の形を図示したものがあるが、
あれは、大嘘なのである。
喉が作る元の音は全て同じだが、口から発せられると色んな音になるのは、舌の動きの所為なのだ。
唇が動くのはオマケ、舌の動きの方がメインなのだ!