『日本の失敗−「第二の開国」と大東亜戦争』 松本健一
日本の失敗―「第二の開国」と「大東亜戦争」 (岩波現代文庫)
- 作者: 松本健一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/06/16
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 65回
- この商品を含むブログ (19件) を見る
と言ってもミッドウェー海戦でこうすれば勝てたなどという
矮小な戦争戦術論の本ではない。
世界征服を企む残虐非道な悪の組織は世界史に数多登場しているが、
大日本帝国軍が世界一の野蛮な悪でアフォの組織であったことを、
豊富な事例で完璧に証明しています。
天皇を現人神としてボスに戴き、同じ明治憲法下の軍隊であったが、
明治時代と昭和時代の大日本帝国軍の違いも明確に説明される。
世界史に例のない野蛮な無法者のキ○ガイの行為だったと理解出来る傑作である。
左翼向けの本かと思われるが、ヒロヒトの行った素晴らしい事も明記しているし、
右翼でも左翼でも、正しい歴史認識と国際常識を身に付けたい人は必読の書である。
ヴァカな知識人を具体的な例を挙げて紹介しているのも、教養人には面白くて仕方がない。
俎上に上がった人物名を列挙すると、
軍人→良い=秋山真之:駄目=戦略眼のない昭和の軍人ぜぇんぶ(藁
政治結社→良い=猶存社(北一輝と満川亀太郎は良いが大川周明は駄目):駄目=玄洋社
(頭山満は駄目だが若い頃の中野正剛は良い)
法学者→良い=吉野作造:駄目=ノンエントリー
経済学者→良い=石橋堪山:駄目=三宅雪嶺
禿の総理大臣→良い=中曽根康弘:駄目=ノンエントリー
天皇→良い=明治:駄目=昭和(駄目駄目天皇になったのは西園寺公のせい)
皇族→良い=三笠宮:駄目=ノンエントリー
次男の父→良い=ノンエントリー:駄目=板垣征四郎(次男は参議院議員正)
天才カリスマ軍人→良い=ノンエントリー:駄目=石原莞爾
父→良い=緒方竹虎(子は貞子):駄目=小澤開作(子は征爾)
攘夷家→良い=高杉晋作:駄目=ノンエントリー
侍従武官長→良い=ノンエントリー:駄目=本庄繁
マルクス主義者の息子→良い=中江丑吉(父は兆民):駄目=ノンエントリー
平和運動家→良い=ノンエントリー:駄目=遠藤三郎
脳天気なポストモダン知識人→良い=ノンエントリー:駄目=浅田彰
哲学者→良い=ノンエントリー:駄目=京都学派(西田幾太郎・和辻哲郎)
東大教授→良い=ノンエントリー:駄目=井上哲次郎
学習院教授→良い=ノンエントリー:駄目=紀平正美
漢学者→良い=ノンエントリー:駄目=山田孝雄
中国文学者→良い=中国文学研究会(竹内好・武田泰淳):駄目=ノンエントリー
修辞家→良い=花田清輝:駄目=ノンエントリー
映画監督→良い=黒澤明:駄目=ノンエントリー
文人→良い=ノンエントリー:駄目=保田興重郎
美術家→良い=ノンエントリー:駄目=岡倉天心
どうです、読みたくなったでしょう。
南京大虐殺ネタもあるが、松本健一氏はテキトーに3〜5万人説でよいそうです。
南京大虐殺を論ずるのに人数を論ずるな!という明確な指摘をしておられます。
3万人虐殺から50万人大虐殺説まで色々あるが、
実行犯の大日本帝国軍にとっては、一人も虐殺などした覚えはないのである。
捕虜を「処理」しただけである。
ジュネーブ条約を守らずに戦時捕虜の人権を認めない、
声高々に叫べ!