『妖鳥(ハルピュイア)』 山田正紀 幻冬舎文庫

妖鳥(ハルピュイア) (幻冬舎文庫)

妖鳥(ハルピュイア) (幻冬舎文庫)

ラスト40Pの四転する大ドンデン返しの嵐が見事。

普通の作家なら二転目の犯人の美しい余韻の残るラストにすると思うが、

文学的美しさより大ドンデン返しの連続を尊重する本格推理の大傑作。

600P越えの大作だが、無駄なエピソードが無くて一気読み。

大ドンデン返し中に大量の伏線を回収するラスト40Pは

本格読みにとって至福の空間である。

あれも伏線であったのか!

と作者の見事な構成力に絶叫します。

カーと同じガムテープで完全封印された密室が出てきますが、

もちろんカーとは違います。

物理トリックもいっぱいあるが、最大の謎は、

今夜にも死ぬ可能性がある意識不明の重病人を

何故自殺に見せかけて密室内で縊死する必要があったのかと

いう動機である。

病んだ薔薇のような美少年も白血病の美少年も出てくるので

耽美系が好きな腐女子の方もぜひ読んでハァハァして下さいw