『樹魔・伝説』『月虹―セレス還元』 水樹和佳

樹魔・伝説 (ハヤカワ文庫 JA (656))

樹魔・伝説 (ハヤカワ文庫 JA (656))

月虹―セレス還元 (創美社コミックス)

月虹―セレス還元 (創美社コミックス)

水樹和佳先生の科学研究所シリーズ全二冊全三作でございます。

「樹魔・伝説」は植物フェチSFの最高傑作、

「月虹―セレス還元」は惑星改造SFの最高傑作であらせられます。

とくに、「樹魔」がよろしゅうございますわ。

心を持たない宇宙人に地球は侵略され、

未曾有の危機になるのでございます。

地球人とは異質の心を持つ宇宙人が出てくるのは、並みのSFでございます。

一流の水樹和佳先生の思考は、知的生命体に心が必要なのかの境地に達したのでございます。

宇宙人には地球人が、肉体の中に精神寄生体を棲まわせている怪物に思えるのでございます。

思うということは宇宙人に心があるという証明にはなりません。

単なる情報処理と反応の問題でございます。

コンピュータは1+1=2と計算しますが、彼は答えが2だと思っているのでしょうか?

そういうわけでございまして、宇宙人との和解は不可能でございます。

宇宙人の攻撃で大ピンチになる人類を救うのは、

樹魔、植物知性でございます。

植物には心があるのでしょうか?

緑色は安全安心の象徴ですわ。

みなさま、暖かい木々に抱かれて眠りたもれ。

たとえそこが冷凍地獄の南極でも、樹魔は目覚めるのですよ。