『ブレーメン5』第五話「マイナスのミザロ」 佐々木淳子
四話かけて五人揃った、チーム「ブレーメン5」。
五話は、チームリーダータウロが、
平行世界の自分(別世界類似体)と擦れ違う話である。
ブレ5のメンバーは全員なんらかの畸形で、
社会から見捨てられた失敗作(ミュータント、サイボーグがメイン)だが、
三種のキメラのタウロより劣る、二種のハイブリッドのミザロと、
ワープ中に擦れ違う。
自分と同じ悩み悲しみを背負ったミザロを、タウロは抱きしめて励ますことも出来ない。
ミザロの世界は実は反宇宙でもあったのです。
映画「E・T」みたいにノンキに指先が触れ合ったら、
二人は対消滅して爆発して死んでしまうのです。
心を癒す肉体の接触が死を招くという、
SFでしか描けない究極の悲劇。
手を握って励ませるのなら、まだ幸福な環境ざんす。
タウロは、主人公になれなかった自分の影にこう呟くしかなかった。
「さようなら、ミザロ、マイナスの影よ…」
メタフィクションの効果もあるような傑作であった。