5月に読んだ本まとめ

5月の読書メーター
読んだ本の数:34冊
読んだページ数:11883ページ

死者の名を読み上げよ〔ハヤカワ・ミステリ1834〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)死者の名を読み上げよ〔ハヤカワ・ミステリ1834〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
「力を誇示したがる愚かな男たち…」「人間の屑みたいな男たちの命を助けようとしてる」G8で政治家や資本家やマフィアのボスと親しくなる機会があっても、例によって誰もが同情しない屑男達の為に奔走するリーバスがデラかっちょええ!被害者達は性犯罪の前科持ちなので、殺されてもリーバス以外はまともに捜査しようとしない。それどころか、犯人は正義感の暴走した警官の可能性も!リーバスはかつての部下だった優秀な刑事を逮捕出来るのか?役得も贔屓とも無縁のリーバスの孤高の生き方が相変らずかっちょええ!
読了日:05月02日 著者:イアン・ランキン
裏切りの果実 (文春文庫)裏切りの果実 (文春文庫)
もうちょっと考えたらロス・トーマス並みの傑作になったかもしれないが、これは黒歴史として封印すべきだな。囮の二人が脱出するアイデアが無理すぎる。あのネタで騙される警官なんているわけない。騙しを掛けるシチュエーションそのものが、不自然。騙そうと動いた瞬間に現金輸送車の運転手は偽者だとバレて逮捕されるだろう。泥棒チームは互いに裏切って金の独り占めを企んでいるから、味方が捕まる作戦を立てるのは構わないが、立案者の作戦は無理過ぎる。サラリーマン生活したことのない正紀の欠点が出たな。トイレ行かせずに6時間勤務は合法。
読了日:05月03日 著者:山田 正紀
脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ
2章60P分が前作と被っているが、100Pちょいの為だけにも買う価値はある。共感覚で原始言語の発生を解く章は、もの凄く説得力が有り知的興奮します。例として架空の言語を作るのが、凄い!キキとブーバを表す言語記号を想像してみて下さい。日本人でもどこの外人でも同じパターンになります。大きいと発音する時、口は大きく開かれ、O(おお)の形になるのは何故か考えてみて下さい。物理的実験で言語の謎も解いた素晴しい本です。チョムスキーよりラマチャンドラの方が天才でした。ラマチャンドラはゲーデル並みの天才!芸術論も良い!!
読了日:05月04日 著者:V・S・ラマチャンドラン
紙つぶて―自作自注最終版紙つぶて―自作自注最終版
日本一の"本の本"と言われる「紙つぶて」なので、林達夫はもちろん出て来ます。谷沢永一は右翼だが、山本七平丸山真男も出て来ます。実は"本の本の本"というべきで、評論家、書評家の本がネタになってる事が多い。直接に小説を書評したのは少ない(SFは皆無)だが、星新一歴史小説は2本、半村良の風俗小説も取り上げてるし、石川喬司のSF紹介本も出てくるから、日本一アンテナが広いのは間違いない。高校文芸部誌まで登場する! さすがに漫画はないが、和田誠のイラスト本は好意的に紹介してます。本好きの知的好奇心を擽る本。
読了日:05月05日 著者:谷沢 永一
最後の音楽―リーバス警部シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)最後の音楽―リーバス警部シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
最終巻なのでリーバスは死ぬと思い込んでいたが、誰もが書くような単純な話は書かない捻くれた天才のランキンなので、リーバスは生き残ります。単純な情動への共感を避ける手法はうっとおしい純文学になるおそれがあるが、本書はコナリー同様、本質は本格推理寄りと理解出来るエンタメの傑作である。"コナリー"も登場しますよ、うふふ。
読了日:05月06日 著者:イアン ランキン
孔雀王 (1981年) (角川文庫)孔雀王 (1981年) (角川文庫)
遺伝子融合怪物(鉱物生物まで有り)が跋扈する32世紀の未来に時間移動したタフガイの物語だが、上帝に呼ばれたのではなくて、超越者の目的は過去に何かを送る事であり、主人公は物理的反動で現れただけかも?との醒めた視点が面白い。無関係な漫画の方が有名だからこれの続編はないよな(T-T)
読了日:05月07日 著者:山田 正紀
砂漠の標的 (ハヤカワ文庫―ハヤカワ・ミステリ文庫)砂漠の標的 (ハヤカワ文庫―ハヤカワ・ミステリ文庫)
「あたしのことをきかないで、それよりあなたのこと、世界のことをきかせて」例によってジェンダー観やキャラの生きる姿勢が素晴らしい!今回はスパイもの、謀略ものと言うよりは、初期単発作品の冒険ものに戻った感じ。戦闘能力がほとんどないテスト走行中のプロトタイプ戦車でヨルダン、サウジアラビアイスラエルと戦う羽目になるのがデラ面白いです。
読了日:05月08日 著者:ギャビン ライアル
さびしい女神―僕僕先生さびしい女神―僕僕先生
何の能力もない童貞ニートであるが故に逆に役に立つというパラダイムシフトが相変わらず素晴らしい!今回は銀河鉄道999へのオマージュ入ってるよね?
読了日:05月09日 著者:仁木 英之
機械探偵クリク・ロボット〔ハヤカワ・ミステリ1837〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)機械探偵クリク・ロボット〔ハヤカワ・ミステリ1837〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
「真面目くさった顔つきで、<現実的な存在>としての自分の生の意味を不断に問うて泥沼にはまりこむのを楽しむ実存主義サルトルが馬鹿にされる為だけに登場する素晴らしい哲学ギャグもあってグッドだぜ!
読了日:05月09日 著者:カミ
魔境(カーフ)密命隊〈上 砂漠妖女篇〉 (双葉文庫)魔境(カーフ)密命隊〈上 砂漠妖女篇〉 (双葉文庫)
ミトコンドリア・イヴより150万年古い人類の本物の祖先を探せ!人類学者は恐竜が棲息してる魔境を目指す!!旅の道連れは女の尻追いかけ男、女装男、逃げる男、燃えない男?珍メンバーはイラン軍を突破して魔境に辿りつけるか!?
読了日:05月10日 著者:山田 正紀
魔境(カーフ)密命隊〈下 地底魔獣篇〉 (双葉文庫)魔境(カーフ)密命隊〈下 地底魔獣篇〉 (双葉文庫)
恐竜が跳梁跋扈する地底世界カーフに突入した探検隊だが、イラン軍も追撃してくる!イランとソ連が企んでいる竜の涙作戦とは何か?探検隊はソ連側の出口を目指す!憎しみ、弱肉強食で地球を支配した恐竜と人類のミーム、だが、カーフ内には全く別の進化圧で知性を得た亜人類も存在していた!冒険小説かSFか中途半端な感じ。まあ佳作。
読了日:05月11日 著者:山田 正紀
利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18))利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18))
冒険小説史上初めて、敵が大自然でも敵国でも敵スパイでも悪の組織でもなくて、自分の弱い心だとした事により絶賛されるべき作品。しかし、心の葛藤の問題はエンタメというより文学の面白さのような?真面目に苦悩する主人公が私にはうっとおしく感じた。本格推理として一応ドンデン返しもあるので現在でも並以上の作品だと思うが、男の自尊心、男は泣いて他人に助けを求めてはいけないと言う視点のジェンダー観が古いよね。
読了日:05月11日 著者:ディック・フランシス
くるすの残光 天草忍法伝くるすの残光 天草忍法伝
信じる者しか救わない神ですら、いつか信じない者も救うまでに成長するだろうという、多様性の素晴しさを訴えた感動大作!忍法のメソッドとしての多様性は山風忍法を越えるパラダイムシフトを成し遂げた!主人公が植物系忍法を使うのもレアだが、肉体強化変形系動物使役系の山風のパラダイムに埋め込む事ができる。それよりシフトした見事な忍法理論が登場する!山田風太郎隆慶一郎も蹴散らし顕現するのが横溝正史だというのも凄い!!
読了日:05月12日 著者:仁木英之
誇り高き男たち (ハヤカワ・ノヴェルズ)誇り高き男たち (ハヤカワ・ノヴェルズ)
「もしわたしが男だったら、パパを見捨てて自分の力でやっていくこともできるわ。わたしが持っている経験をもってすれば、どこだって放っておかないわ。でも、女であるわたしとなると、皆パパの娘だからって理由で、わたしを相手にしているだけなの」例によってジェンダー観が素晴しい!ヒロインが遂に砲兵として目覚める!!油まみれ泥だらけになって装填手として大活躍!!!そして、男だろうと女だろうと、誇りの為に勇敢に戦う者は戦争賛美の社会の敵だという認識もある傑作。レイプ魔の誇りも語った、題名とテーマが真逆の傑作w
読了日:05月13日 著者:ギャビン ライアル
NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
山田正紀北野勇作、斎藤直子がベスト3。正紀のは小松左京の「ゴルディアスの結び目」以外に「BS(ブレインスター)6005に何が起こったか?」もオマージュしてると思う、64乗でも66乗でもなくて65乗ですからな!生命発生確率10の130乗分の1の2分の1の方かもしれんがw架空素粒子ブレインと実在素粒子ブレイノンを誤読しないでねww情報工学にも大胆な捩曲げがあるが素直に騙されて感動して下さい。
読了日:05月14日 著者:
不可能犯罪課の事件簿 (論創海外ミステリ)不可能犯罪課の事件簿 (論創海外ミステリ)
「不可能犯罪課」「キロシブ氏の遺骨」「七口目の水」「袋小路」「皇帝のキノコの秘密」「喜歌劇殺人事件」「間一髪」「家族の一人」現代の読者として読んで面白いのは「皇帝のキノコの秘密」だけかな。トリック史の研究者には価値ある一冊かもしれない。ジャップを素直に嫌悪した作品があるから、右翼化する日本の未来において発禁図書になる可能性もあるので、流通してる時に買っておいた方が良いかもしれぬwこんなレベルの低い50年古い作品集が出るということは、逆にママシリーズは傑作で熱烈なファンがいると言うことか?
読了日:05月15日 著者:ジェイムズ ヤッフェ
千里伝 時輪の轍千里伝 時輪の轍
「ぼくは嘘はつくが約束は破らない」なんちゅう歪んだヒーローだwさすがパラダイムシフトの天才仁木英之である!今回『朱温』のキャラの楊行密が出て来るので、シリーズ最終巻は大甲子園化しそうでデラ楽しみですな。唐代から百年以上離れたキャラも集結可能な伏線引いた超絶ファンタジーの二巻である。
読了日:05月17日 著者:仁木 英之,ちぇこ
誇りは永遠に (Hayakawa novels)誇りは永遠に (Hayakawa novels)
「いかにもふさわしい人間が暮らし、いかにもふさわしい内装が施されたような部屋は、ただ気楽に仕事をさぼるためのものである。真の仕事がなされる部屋というものは、あらゆるものがちぐはぐで、臨時の仕事場にしか見えないものである」ジェンダーものとして主人公が女装に目覚める素晴らしさ!ライアルが生きていればゲイの男同志のセクスも書いたに違いない。ライアルを越えた冒険スパイ物はまだないのか?
読了日:05月18日 著者:ギャビン ライアル
サブウェイ (ハルキ・ホラー文庫)サブウェイ (ハルキ・ホラー文庫)
幽霊が見えると言うか、回りの通行人が見えなくなって、幽霊だけと自分探し対決して負ける霊感人間の物語。地下鉄同士が正面衝突する理屈が判らぬ。感覚遮断妄想フィールドは、多数の駅の駅員のリスクマネージメントを阻害するほど広範囲に広がっていたのか?ホラーに対して野暮な疑問かもしれぬが、あそこが都合良く開いてたのは白ける。
読了日:05月19日 著者:山田 正紀
フラッド (ハヤカワ・ミステリ文庫)フラッド (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ニューヨークを舞台にした必殺仕事人?主人公は殺し屋と言うより詐欺師で作戦コーディネーターか?マッドサイエンティストの仲間が居るので、細かい武器のギミックが面白い。シリーズ最終巻は全世界のロリコンを集めて核爆弾で退治と予測する!クーンツレベルに暴走モードになる可能性が期待出来る。
読了日:05月20日 著者:アンドリュー ヴァクス
知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)
架空座談会方式で適時に表やイラストが入るので、とても判り易い。間違って覚えていたソーカル事件人間原理も明確に復習出来て良かった。ドゥルーズ信者でしたが数学の知識が150年古い詐欺師だと紹介されていて目が覚めました。帰納法の正しさを証明出来ないというネタが一番ショックでした。ゲーデルが証明してたと思ったが、超数学的帰納法で形式的帰納法を証明しても、完全に証明したことにはならないんですね。科学論理は反証可能命題でなければならないというのが物凄く判り易くてグッド!フロイト精神分析学は占いだと納得出来ました。
読了日:05月20日 著者:高橋 昌一郎
ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻 (文春文庫)ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻 (文春文庫)
愛する間抜けなご主人様との二人だけの生活を維持する為に、ご主人様の縁談を機略を尽して潰して行く才智ある執事ジーヴスの物語。本格推理としては推理する余地はあんまりないが、ユーモア小説としてサクサク読めます。シリーズ最終話は中年になったご主人様とジーヴスの801をキボーン!時代的にホモは犯罪の時代なので、ホモネタは出てきませんか?w英国に見捨てられ米国に帰化したウッドハウスなので愛国心を馬鹿にするギャグの炸裂も期待する。次卷ももちろん買いである。
読了日:05月21日 著者:P.G. ウッドハウス
螺旋(スパイラル) (幻冬舎ノベルス―幻冬舎推理叢書)螺旋(スパイラル) (幻冬舎ノベルス―幻冬舎推理叢書)
全長6.5Kmの完全密閉地下水中密室から死体が消える!別の空中密室も演出する連続殺人犯からのメッセージは聖書の言葉。燃える茨と神の声を聞いた牛背(モーセ)や、エゼキエル書に書かれている空飛ぶ円盤も登場し、犯人は神のSFとしか思えなくなるが、本格推理として見事に着地する!鏡のトリックがおかしいように感じるのは神獣聖戦へのオマージュだからって、理由にならないw。素直に全ては死んだ被害者があの世で見てる夢と言うことでもOK!
読了日:05月21日 著者:山田 正紀
燃える魚雷艇 (徳間文庫)燃える魚雷艇 (徳間文庫)
戦闘艦艇で一番雑魚の吹曝しのオープンブリッジの魚雷艇を主役メカにするのはレアで良い。描写やストーリーは並+程度か。ヒーローの20〜22才時代の副長と艇長時代が語られる。部下も若くて、17才や18才の金髪碧眼の美少年も出て来るので、腐女子の方は好きなように妄想して下さい。基地の通信兵の美女と簡単にラブラブファイヤーになるのはよくあるパターンで白けるが、彼女を魚雷艇に乗せて出動(出撃ではない)するシーンは、他作品では女性兵士もブイブイと戦っているみたいで期待出来る。女性も男と平等に戦って散る作品を期待する。
読了日:05月23日 著者:ダグラス リーマン
森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります! (講談社文庫)森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります! (講談社文庫)
誰でも答を知ってるようなよくあるネタが多いが、博士と助手の科学漫才を楽しむ本ですね。エコ対策は人間を減らすのがベストだと明言してるが、自動車を減らせとは言ってないが、序盤自転車ネタが五連続するのは、深い意味があると思う。究極のエコカーは自転車なのに、自動車メーカーが自転車メーカーに業態移行しないのは何故だろうw
読了日:05月23日 著者:森 博嗣
ワイオミング生まれの宇宙飛行士 宇宙開発SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)ワイオミング生まれの宇宙飛行士 宇宙開発SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
表題作と「月その六」「電送連続体」がベスト3。バクスターとクラークが面白いのは当然だが、表題作は大当りである。占いのような疑似科学が科学へのロマンを阻害するが、現実は疑似科学を擁護するマスゴミを利用しないと科学のロマンも追及出来ないという素晴しい真実が語られている。タブロイド紙からのトンデモ見出しの引用もギャグとして面白いし、人間ドラマがよく書けているので、SFが嫌いな人も表題作は楽しく読めて感動出来るであろう。大スケールの落ちが好きなSF者にはバクスターとクラークがお勧め。地味マニアは残りを楽しんでね。
読了日:05月25日 著者:アーサー・C・クラーク,スティーヴン・バクスター,アダム=トロイ・カストロ,ジェリイ・オルション,アンディ・ダンカン,ウィリアム・バートン,ジェイムズ・ラヴグローヴ,エリック・チョイ
弥勒戦争 (ハルキ文庫)弥勒戦争 (ハルキ文庫)
「神狩り」を神=救世主=弥勒と仏教に置き換えただけと思い込んでいたが、進化論の話もあるしSFとしてはこっちの方が深いよね。人間の脳は進化したのではない、退化した特殊化である説はいいよな。意味を考える事自体が脳が不完全な証拠と言うのもいいよな。素晴らしい知性なら疑問など浮かぶ事なく直ちに答が閃く筈でR。仏教ものとして裏切り者のダイバダッタが釈迦がジェノサイダーに目覚めるのを阻止した説も素晴らしい!56億7千万年の理由は諸星大二郎の方が上だよね。
読了日:05月25日 著者:山田 正紀
ぼくには数字が風景に見えるぼくには数字が風景に見える
「ゲイであることで羞恥心を抱いたり、困惑したりすることはなかった」ゲイ文学としても楽しめますぜ、兄貴!801シーンはないので、正常な人も安心して読んで下さい。正常と異常に境界がある考えは古い。スペクトラム(連続体)概念で程度の差の個性の違いだとするのが最近の考え方なので、何の能力もない単に変な人もこれを読んで救われて下さい。著者は魅力的だがクリスチャンなのは欠点だな。欠点も個性なので、まっいいか。
読了日:05月26日 著者:ダニエル・タメット
高原王記高原王記
ヒロイックファンタジー世界は世界を救う使命を帯びた勇者がメインになるのが普通だが、試練を乗り越えて精霊を味方にした勇者が、序盤で引退宣言してしまうのが、さすが、パラダイムシフトの天才の仁木英之である。修練を止めた元勇者がバリバリに活躍するのは、天才の仁木先生でも無理があったみたいで、別の勇者の物語も語られ、感動のパワーポイントがはっきりしないが、勇者に成れなかった1万人の雑魚兵に思いを寄せる引退勇者の設定はレアで魅力的だと思う。誰でも書くようなよくある話を避けようとして、外しすぎて失敗した感。続編希望。
読了日:05月27日 著者:仁木 英之
aha! Insight ひらめき思考(1)aha! Insight ひらめき思考(1)
茂木健一郎のアハッ体験の元ネタ。 30年前に別冊サイエンスとして読んだが、その時のペンネームはI・C・フリッカーという洒落た名前でしたよな。お子様を数学好きにする導入本としてベストだろう。お子様と解きあってお子様に負けて親のメンツが潰れても気にしないように(笑)。フリッカー名義ならフリッカー回路とはと薀蓄語って親の名誉挽回出来るのに、ガードナーのペンネームギャグってこれだけだっけ?
読了日:05月27日 著者:マーチン ガードナー
流氷民族 (ハルキ文庫)流氷民族 (ハルキ文庫)
ハードボイルドミステリホラーSF冒険小説として、もっともっと面白く書けたと思うが、正紀20代の作品なのでしゃあないか。黒歴史として封印するほど酷くはないが、正紀コンプを目指している人は後回しでもいいか。最初に遭遇して昏睡した美少女が最後まで目覚めず、主人公とラブラブファイヤーにならなかったのは上品で良かった(素っ裸だけど)。氷河民族より流氷民族の題の方が、ギャビン・ライアルの「拳銃を持つヴィーナス」のような深い意味がいきてくるのでいいよな。ハードボイルドタッチのこの雰囲気が好きな人にはこのままでも傑作か?
読了日:05月28日 著者:山田 正紀
最終定理 (海外SFノヴェルズ) (単行本)最終定理 (海外SFノヴェルズ) (単行本)
「妊娠、出産は不条理なきまりであることはいうまでもない。この法規には、赤ん坊がほしいと望む女性は、知的機能よりも、母たる機能を優先すべし、と書いてある。これはやはり不公平だろう。しかし文句をいって、どうなる?ゲームのルールを好きになる必要はない。やりようによっては、勝ちが望めるのだから」ホモの大学生がVIPに成っていく過程を描いたファンタジー。ファンタジーとして空想するのが難しいリーマン予想は対象外で期待外れ。
読了日:05月30日 著者:アーサー・C・クラーク,フレデリック・ポール
南の子供が夜いくところ南の子供が夜いくところ
「親は子供を愛する。本でも映画でも、ごくごくそれが世の中の常識のようになっているが、実際にはどうなんだろうね?みんながみんなそんなわけないだろうと俺は思うんだが」ファンタジーホラーユーモアミステリハードボイルドと叫びたくなる傑作。前4作を読んできた読者でもこれはついていけない人がでそうだが、私は恒川光太郎様に一生ついていきますぞ。先鋭化した幻想がリアルな現実批判文学と同時に存在する可能性が私には見える。光太郎様は凄い!
読了日:05月30日 著者:恒川 光太郎
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
「女が戦争をまるっきり知らないだって?冗談もたいがいにしてよ!あんたたちは得だよ。いったん戦争が終わりゃ、みんな英雄なんだからね。戦死して英雄、生き残って英雄、負傷して英雄…。それだから戦争を発明したんでしょうが、あんたたち男は−−。今度の戦争も、あんたたちの戦争なんだ。あんたたちが望んだんだから、泣きごと言わずに、勝手におやんなさいよ、糞喰らえの英雄め!」鬱陶しい純文学ではなくてエンタメノワールの傑作!ホモとの絡みをもっと書いてほしかった。主人公の尻の穴無事?
読了日:05月31日 著者:アゴタ クリストフ

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